NPO法人芸術環境計画 [ART POT]

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<気づきと育ち>のためのアートプログラム

<企画趣旨>

 いま、子どもたち(青少年)は非常に辛い状況にあります。
辛さの感じ方、表し方は、個々に違うでしょうが、何か事件が起こるたびに「ごく普通の子どもだったのに」という言葉がよく聞かれるほどに、多くのごく普通の子どもが心に鬱屈した闇を抱えているということではないでしょうか。
その闇の現れ方が突発的で激烈であればあるほど、辛さに絶えきれなくなった身体が悲鳴を上げているように思えます。いつの時代にも子どもの悪さやいたずらはあって当然ですが、今日の有り様はやはり特殊現在的な社会状況、環境を映しています。
その状況、環境とは、子どもたちの世界に照らして言えば、五感=全身体を使って物事を感受し、そこから何かを表現し、創り出していく—―自分や他者と全身 でかかわり、感情の起伏や葛藤を体験し、何かを生み出すために主体的に考え、工夫し、やり遂げ、その喜びとともに新しい自分を発見する――そのような機会 と場が失われていることです。
子どもたちが遊び興じるわかりやすい楽しみは溢れているものの、身体性を目覚めさせ、自己や他者への気づき、心や 感情を豊かに育てるような“遊び学び”の時間・体験は、学校からも地域・家庭からも奪われ、希薄になる一方です。子どもたちの心はどこか穴の空いた、決し て満たされることのない状態に置かれています。もちろん子どもたちも忙しく、そのことに気づくはずもないでしょうが、心にある欠落を伴ったまま成長してい くことは間違いないように思えます。それが“普通”なのだとすれば、子どもたちは救われません。

 美術をはじめとした芸術(創造)行為は、 五感の触発から始まります。全身体で物事や素材や道具を感じ、そこから呼び起こされる感情をかたちや行為に表わすために考え、葛藤し、工夫し、創り上げて いく。それは個的な行為であると同時に、つねに他者――他の人を含めた物、素材、道具、そこから呼び起こされるいままで知らなかった自分など――とのかか わりを通じて生み出される行為です。
自己や他者への気づき、個性や主体性とは、そのような行為のなかで育まれるものであり、上手・下手は問題ではなく、このプロセスこそがいまの子どもたちにとって成長のための大切な経験なのだと考えます。
「少年アート探験団――<気づきと育ち>のためのアートプログラム」は、芸術家と子どもたちとの協働による創造行為を通じて、子どもたちにそのプロセスを生き生きと体験してもらいたいために企画したものです。

<プログラムのコンセプト>

§子どもたちのより近くに、地域の中に。

 子どもたちが芸術や芸術家と生に接する機会は非常に限られています。親をはじめ、身近な大人が興味がなければ、展覧会や公演などに行く機会もないでしょう し、いつでも身近に芸術にアクセスできる、身の回りに溢れているといった恵まれた環境は、まさに限られています。接する機会がなければ、ゲームやテレビな ど、手近な遊びがいっぱいある子どもたちの関心が向かなくても不思議はありません。
また、学校のカリキュラムに沿った授業の中では、年齢の異なる子どもたちの協働作業や、驚きや発見などの非日常的な体験による感動、気づきなどについて、あまり多くを期待するのは酷とも言えます。
このプログラムは、子どもたちのいるところへ、普段の生活の場所に芸術や芸術家が飛び込み、侵入し、子どもたちをアート探験に引きずり込むことをまず眼目 としています。子どもたちに近づき、子どもたちのより近くに、アートを探検し、体験する機会を用意します。もちろん、プログラムの内容によっては、美術館や自然の中や街中に飛び出す探験の場合もあります。

§つくる⇔感じる⇔考える⇔

  「アート探験」とは、きっかけは自発的なものではなくても、あるとき芸術の森の中に身体ごと迷い込み、よくわからないながらも何かを感じ、その何かを考 え、自分でもつくって(表現して)みる。つくりながらまた、感覚・感情が刺激され、考え、工夫し、他者とのやりとりがあり、想像し、葛藤し……といった身 体を通じた非日常的な異時間体験により、これまで知らなかったものの見方や感じ方、考え方、いわばこれまで知らなかった自分に気づいてもらうことをめざす ものです。
もとより、この体験がみんなに、また即時的に効果をもたらすということはないでしょうが、身体感情として必ず残り、感受性を豊かにする力を持つと考えます。
芸術は決してわかりやすいものではありません。しかし、だからこそ、わかりやすい楽しみがただ消費されるのとは異なり、気づきのきっかけとなり得ます。言い換えれば、アート探験は、消費されない、自律する自由な感性の育ちを手助けするものです。

<プログラムの概要>

  プログラム個々のテーマや実施内容は、対象となる子どもたちや地域コミュニティ、実施場所、協力芸術家とジャンルなどによって異なってきます。美術、音 楽、文学、演劇等パフォーミングアート……何をどのように行うのがその子どもたちや地域にとって<気づきと育ち>の種になるのか、ときには子供たちも交 え、それらを話し合うところからこのプログラムは始まります。
実施形態としては、以下のようなパターンが考えられます。いずれのパターンでも、まず興味や関心を持ってもらうため、芸術家の作品展示や公開制作、公演などとセットで実施するのが効果的です。

(A)単日型プログラム

  学校や児童館、青少年施設など地域の施設を借りて、1日数時間、体験型のワ-クショップを行います。時間が限られているため、テーマを深めることは難しい のですが、事前に課題を与えておくなど、いろいろ工夫は考えられます。(もちろん、白紙で臨んでもらうほうがよい場合も少なくありません。)

(B)数日型プログラム

  単日型と同様、地域の施設を借りて、2~3日各数時間、ワークショップを行います。芸術家のレクチャーから始まり、討論や練習・訓練、課題制作、できれば 発表までを実施。芸術家との協働制作があってもいいでしょう。連日も考えられますが、数日置きもしくは1週間置きぐらいのほうが、子どもたちの体験もテー マもより深まると考えられます。

(C)プロジェクト型プログラム

 子どもたちの創造活動と地域の高齢者やコミュニ ティとをリンクさせたテーマ設定などにより、地域の人々との交流をも図りながら、自分たちで何かを生み出し、地域とかかわることの楽しさや達成感を体験し てもらうアートプロジェクトです。参加・協力要請等、地域の人々との事前の交渉が必要になりますが、子どもたちのプログラムそのものは数日型を拡張したも のと言えます。

※いずれのパターンも、いくつかの地域や機関が共同し、巡回実施が可能になれば、費用負担も軽減されます。

<予算>

 実施に当たっては、以下のような費用が発生します。基本的には参加費を徴収しますが、あまり多くは期待できないと考えられます。したがって、費用はできるだけ低く抑えるように工夫するとともに、プログラムによっては助成や協賛を追求します。

●実施までの打合せや会議、関連機関等との折衝などを含む、個別プログラムの企画及び準備にかかる費用
●参加者募集などのための広報(チラシ等作成)にかかる費用
●講師芸術家への謝礼、制作する場合の制作費
●実施に当たっての会場費や設営費、補助要員の人件費、ビデオ等で記録するためのカメラマンの人件費及び撮影機材費、ワークショップで使用する道具や材料にかかる費用、その他機材(スクリーンやプロジェクター等)が必要な場合はその機材費等、現場でかかる費用など

最終更新日 ( 2009/12/17 木曜日 12:34:29 JST )
 
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